ドラクエの映画を観てきたので、その感想です。
・ネタバレしまくります。
・まろやかな甘口程度の感想です。
最初に私のドラクエスペック
ドラクエ未プレイ。
ただし夫(ドラクエ1~3ファン、4、5はふわっと)と娘(小3。ドラクエはかいつまんでちまちまプレイ中)がファンなのでドラクエ展などには行ったことがあり、多少の知識はある。
ドラクエの音楽は大好き!
スライムかわいい。
フローラ派とビアンカ派がいることは知っている。
映画に関する前知識
公開直後からなにやらネット界のざわつきを関知。
どうやら賛否分かれる感じらしいというぼんやりした情報を小耳に挟む。
映画の感想
ファンのみなさん、大丈夫でした?
えっと…まず…ドラクエファンのみなさん、大丈夫でした?
あの…主にラストあたりの展開…正気を保っていられました…?
映画は主人公であるリュカの誕生から描かれ、父を失い、それでも母を助けることを目的とし、途中ふたりの女性の間で揺れつつも伴侶を得、子を成し…
といった感じの内容なのですが、最後の最後、魔界の門が開いてしまうのをリュカの息子が阻止した――と思った瞬間、ラスボスのミルドラースが出てくるんですよね。
そのラスボスが、思ってたんと違う…というか、このドラクエのシステムに入り込んだウイルスなんです。
そいつが、ドラクエの世界がゲームであること、リュカ(の中の人)は最新のVRアトラクションでこの世界を体感していること、自分はゲーム嫌いのハッカーによって送り込まれたウイルスであることなどを暴露し始めます。
すっかりゲームの世界に没頭していたリュカ(の中の人=本当はサラリーマンのような感じでしたね)は、それらを知り、自分が誰でどうしてここにいるのかを思い出した上で、ここもまた自分にとってはもうひとつの現実だと言って、ドラクエの世界を守ろうとします。
いわゆるメタ展開と言いますか、映画全体で見れば斜述トリックみたいなものでしょうか。
リュカ(の中の人)は、現実世界では単なるサラリーマンで、だけど子供の頃にドラクエに夢中になった青年という設定のようでした。
これは今日本中にいる「自分」を投影した主人公像ですね。
「かつて勇者だった自分」が、この映画の主人公だったわけです。
う~ん…これは噂には聞いていたけど、確かに賛否両論が分かれるストーリーだな~!と唸りながら観ていました。
正直、ラスボスがあらわれてドラクエのプログラムをどんどん簡略化していくシーン(グラフィックなどがはがれていく)は、ドラクエファンではない私でも、やめてくれ~:;!と思いましたし、あまりの痛々しさに映画館を飛び出したくなりました。
いったいどうやってこの物語を終わらせるのだろうとハラハラしましたが、その後の展開で何とかホッとした、という感じのラストでした。
まさかのメタ展開が始まった時は、まず最初に拒絶感を抱いてしまったんですが、そこからラストまでの時間で、こういうのもありなのかな、と考えられるようにはなりました。
たとえばこれが、ドラクエのファミコンソフトが発売された当時なら、最初から最後までリュカの冒険だっただろうし、そうするべきだと言えました。
だけどドラクエがこの世に誕生してから長い時が過ぎ、あの頃ドラクエに熱中していた子供たちはもうすっかり大人になりました。
ドラクエに代表されるゲームの環境も、ファミコンという閉じた世界から、今はオンラインが主流となり、コミュニケーションの部分が大きな要素を占めつつあります。
このドラクエの映画は、今という時代だからこそ生まれたストーリーなんじゃないかなという風に考えることができました。
逆に言えば、今にしか作れない映画なのではないかとも思えたのです。
それでもモヤモヤが残る理由
上記のように、私はネットで見かける酷評よりは、マイルドな感想を抱きましたが、それでもここだけはどうにかしてほしかった!と思ったところがあります。
それは、公式には自作品をディスってほしくなかったということです。
ラスボスの口を借りて語られた内容は、ドラクエそのものを否定するようなもので、それはやはりファンにとっては公式に最もやってほしくないことではないかと感じたのです。
私も一介のオタクなので、ドラクエファンではなくとも、自分が好きな作品でそのようなことが起こったら、どれだけ悲しいかと想像します。
いや、いろんな作品で、主人公と敵対するキャラが主人公を馬鹿にしたり卑下したりするシーンは山ほどでてきます。
だけどこのドラクエの映画に関しては、ドラクエの世界の中で敵が主人公をディスったという話ではなく、現実という世界から見たドラクエそのものをディスったという構図なので、また違った意味合いに取れてしまったのです。
それが、ドラクエを愛するファンの心も含めて傷つけられたような気分になってしまいました…
メタ展開は、かつてのドラクエをプレイした層の年齢や、今のゲームを取り巻く環境などから、わりとおもしろい試みだったと思います。
ただこの、ラスボスであるウイルスのキャラ設定に関しては、もうちょっと何とかできなかったのかな~!?企画の段階でそういう意見が出なかったのかな~!?と悔しく思う結果でした。
ドラクエの世界観、ドラクエを愛するファンの人たちを傷つけず、かつて勇者だった自分たちの冒険を懐かしく思い出し、楽しめるような映画にしてほしかったなぁ…
その他の感想
ビアンカフローラ論争はあれでいいの?
映画ではリュカはビアンカと結婚します。
それも、一度はフローラと婚約したものの、怪しい占い師の老婆に本心が分かる薬を渡されて、それを飲んで初めて、ビアンカに対する気持ちを自覚し…という展開でした。
これはあまりにフローラがかわいそう…!と思ったけど、実はその老婆こそがフローラが変装した姿だったのです…。
いやいや、それでもフローラかわいそうだが!?
フローラ派はこれでよかったんでしょうか…
フローラルートとビアンカルートの両方を作って、シアター分けてほしかったですw
やっぱ音楽がいいわ~
ドラクエといえば音楽!
あの有名で素晴らしい曲を、オーケストラの音色で映画館の大音量で聞けるのはめちゃくちゃ気持ち良かったです!
リュカが冒険を始める時に鳴り響く序章のテーマだけで胸が熱くなりました。
今回は映画館の後方の席で見たので、もし次の機会があれば前方で映像と音楽を楽しみたいなぁと思うほどでした^^
(まあ、ラストの展開がつらかったので二度目はないと思いますが…)
夫と娘(小3)の感想
夫
この映像でどんなすごいミルドラースが出てくるのかわくわくしてたら、もっとヤバいやつが出てきてしまった…
ミルドラース見たかった(´・ω・`)
娘
よく分からない部分もあったけど、おもしろかった!
でした。
特に娘は、ところどころクスクスして楽しんでました。
まとめ
私はにわかなのでこの程度の感想になりますが、ドラクエファンの人に、お勧めだよ!とは口が裂けても言えない映画でした^^;
多分私ぐらいの位置の人間の方が楽しめる映画じゃないかなぁ…。
しかしこれほどの国民的ゲームが満を持しての映画化なのに、どうしてこうなった…としか言えないのは残念ですね。
私も進撃の巨人の映画化で癒えない傷を負った身なので、ダメージを負ったファンのみなさんの心中お察しします…。
なんかこう…ライオンキングでも観に行こうかな…って遠い目になってる今です。